0-1.世界史の勉強方法 ~基本的な地理を覚える~
世界史について講義を始める前に、0-▯のページでは、
世界史の勉強法や参考書の紹介、世界史の基礎知識について勉強していきたいと思います。
世界史の勉強のSTEP1は、
教科書を読むことでも、歴史用語を覚えることでも、年号を暗記することでもありません。
世界史において基本となる地理を頭に入れ込むことです。
世界史の勉強をはじめる時に、まず教科書や参考書を読んで、
本文の内容や用語、年代を覚えようとする人はたくさんいると思います。
でも、私がこれまで世界史を教えてきた中で、声を大にして言いたいのは
「世界史学習の第一歩は、世界史に関する地理知識を身につける」ということです。
なぜ、最初に基本的な地理の知識を身につけるのか?
“いやいや(笑)。中学校で習ったし。"って思う人もいるかもしれませんが、
オリンピックの開会式を見ると、
“聞いたことない国だなぁ…アフリカの国かな?"
“名前は聞いたことあるけど、どこにある国だろ?"
という風に、意外と世界にある国の名前と場所を知らないことに気づくはずです。
下の地図の、北アメリカ大陸と南アメリカ大陸(合わせてアメリカ大陸ともいう)を見て、
いくつの国名とその場所を正しく答えることができますか?
ほらね。
国名が思い浮かんでも、場所があやふやだったりするでしょ?
世界史の勉強に関して言えば、
全ての国名を知っておかなければならないってわけではありません。
でも、教科書に出てくる国の名前とその場所などは最低限の知識として知っておく必要があります。
そして、最低限の国の名前と場所だけではなく、都市名や地名、
大まかな自然環境=地形・地勢(…土地の高低や湖・高原・川などの自然のありさま)を覚え、
それらを国境線ありの白地図に自分で書き込むことができる、
もしくは、頭の中でイメージできるレベルにならないといけません。
でないと、
“あれ?マケドニアってどこだっけ?"
“中央アジアってどのあたり?"
“華北の統一や、江南の開発の、華北と江南って中国のどのあたりを指すの?"
“ヨーロッパの火薬庫と言われるバルカン半島ってどこ?"
“ベーメン[ボヘミア]って、今のチェコ北西部……チェコってどこだっけ?"
“375年にゲルマン民族の一派である西ゴート族がドナウ川を越えて…ドナウ川ってどっち?"
という風に、世界史を勉強している途中で、迷子Σ(゚Д゚;≡;゚д゚)💦になってしまったり、
世界の地形・地勢の知識がないと、例えば『古代エジプト史』のところで、
「エジプトは、閉鎖的な地形が天然の自然要塞[要害…地形・地勢的に守りやすく攻めにくい場所]としての役割を果たしたため、比較的、外敵・異民族の侵入を受けにくく、メネス[ナルメル]王による上下エジプト統一から、前332年にアレクサンドロス大王によって征服されるまでの間に、約30もの王朝が興亡・交替したが、その大部分は、エジプト語系(昔は、語族の分類としてハム語系[ハム語族]と言ったが、現在は言わない)の人々が統治する王朝であった。そのため、ファラオ(エジプトの王)による安定した統治と国内の統一が長期間保たれ、高度で独特な文明を育んだ。」と説明されても、
“閉鎖的な地形って?"と、頭にはてなマーク❔が浮かんでしまいます。
でも、「エジプトは、ナイル川両岸以外は砂漠が広がる国で、北は地中海、西はリビア砂漠(サハラ砂漠の一部)、東は紅海と大部分が砂漠のシナイ半島というように海と砂漠に囲まれている。」と知っていれば、
“エジプトを征服しようと砂漠を超えたり、海から攻め込むのは一朝一夕にはいかない難しいことだったから、異民族がエジプトに侵入して支配することは少なかった。だから、独特な文明がエジプトの地で花開いた。"
という風に、簡単に理解できるんです。
“でも、地理なんてやっている時間ないし、
教科書や参考書を読みながら、その都度、地図を確認したらいいんじゃないの?"
って思うかもしれませんが、
「カッシートは、イランのザグロス山脈から、古バビロニア王国滅亡後のバビロニア[バビロニア地方…現在のイラクの首都バグダード[バグダッド]からペルシア湾に至るメソポタミア南部(=南部のシュメール地方+北部のアッカド地方)]に侵入して王国を建てた。」
という文章が参考書に書かれていた時に、
“イランってどこだっけ?"
“ザグロス山脈ってどこにあるの?
“イラクのバグダードってどのへんだっけ?"
“ペルシャ湾は確か…"
と、本文を読みながら、国名や地名、河川名、山脈名などの地理的な用語が出てくるたびに、
載っている地図を見て場所の確認をしていたら、読んでいる本文の流れがプツンプツンと
切れてしまって、本文の内容が頭に入ってこなくなってしまいます。
地図を何度も何度も確認しなくても良いように、
最低限の、現在の国の名前・場所・首都・有名な都市・地名・地方区分といったものや、
世界史に関係する現在と変わらない、河川名や山脈名などの地理的な基礎知識を先に身につけておくべきです。
少なくとも、小中学校の地図帳レベルは必要です(。◕ˇдˇ。)/ビシッ!!
世界史の高校の教科書で一番使用されている、山川出版社も、
世界史の副教材として『世界史学習のための地理』というB5版の26ページの冊子を、
世界史学習の前提として必要な基礎的地理的知識を身につけることができる教材として出してます!
ただ、高等学校専売品なので、普通の本屋では買えないんですよね(;´Д`)💦でも、大丈夫!
国名や首都名などは、
◆地図・路線図職工所 https://www.chizu-seisaku.com/w_map/
◆ちびむすドリル小学生 https://happylilac.net/sy-sekaitizu01.html
◆子供の習い事図鑑 https://startoo.co/workbook/83747/
のサイトを使って勉強できるので、良かったら活用してみて下さい(^_-)-☆
基本的な地理知識があれば地図を活用する必要はない!?
じゃあ、最低限の地理知識を覚えたら、
地図は見なくていいのかというと、残念ながらそういうわけにはいきません😢
教科書や参考書、資料集などに載っている地図は、
各地域の各時代に登場する文明や国(都市国家・帝国・王国・公国・遊牧国家など)、
その勢力範囲(領土の拡大・縮小・分裂)、遺跡の発見地や都などの位置、
戦いや反乱などの舞台となった場所、条約の結ばれた場所や会議の開かれた場所、
民族の居住地や移動経路と移動先など、
そういったものを確認し、各地域各時代の地図をイメージとして頭に入れるために活用します。
「周は、都を鎬京から洛邑に移した。」と、教科書や参考書にあれば、
そのへんの紙でいいので、中国の地図を描いて、
次に、場所を書き込む際の目安にしやすいもの、例えば黄河や長江を描く。
それから、教科書や参考書などをじっと見て
「鎬京は黄河最大の支流である渭水流域のこのあたりにあって、
洛邑は黄河文明[中国文明]で覚えた仰韶よりも、さらに東のこのあたり」という風に覚える。
覚えたら、実際に自分の描いた地図に、鎬京と洛邑を書き込み、
その後、それぞれの場所が正しく地図に書き込めているかを教科書や参考書で確認する。
こうすることで、各時代の地図をイメージとして記憶していくことができます。
ちなみに、絵心がなくて、自分で中国とかサッと描けないよ(;´Д`)って人は、資料集の付属としてついている白地図や、インターネットにある無料で使える白地図をコピーして使ってもOKです。
以下のサイトで、白地図を無料で手に入れることができるので、
原本を印刷してファイルにまとめておいて、それをコピーして勉強に使うといいですよ。
◆帝国書院 https://www.teikokushoin.co.jp/map/
◆白地図専門店 https://www.freemap.jp/
◆世界地図 http://www.sekaichizu.jp/
是非是非、白地図を上手に活用して、効率よく世界史を学びましょう!
最後に、地図から入る世界史学習のために執筆された
駿台受験シリーズの『ビジュアル世界史問題集』佐藤專次さんの本もおススメです。
ではでは、
次回の世界史の勉強方法では、世界史をおおまかにざっくりと理解する方法を紹介します。
【0-2.世界史の勉強方法 ~歴史の流れの大筋を掴む~】
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